November Story  ~最後の一滴~

11月10日 東京スピマでの「セッションレポート」 つづきより・・・

 

 

「ゴールデンドロップを受ける、ティーポット」

 

 

白く明るい病室・・・ベットからカラダを起こした老婦人の肩にケープを掛け、

 

あなたは、その方のお顔にメイクをのせています。

 

うすーくベールをかけるように・・・お粉と、桃色のチーク、そして艶のある口元に。

 

仕上がると、老婦人に手鏡を手渡し、あなたも一緒に覗き込んでいますね。

 

鏡に映った婦人の顔はパッと、少女のようにほころんでいます。

 

そして、丸いやさしいまなざしであなたを見つめ・・・

 

 

「ありがとう。 あなたはいい子ね、やさしい子・・・」

 

 

あなたに、ゆっくりと・・・慈しむようにおっしゃるのです。

 

その方の最後の輝きをあなたは自分のカップの中に大切に大切に受けています。

 

茶葉から最後におつる至極の一滴のように・・・人生のうまみ、智慧、慈愛が凝縮したしずく。

 

その一滴は・・・・その人そのもの。

 

あなたの中に、ふわ~っと、豊かな波紋が広がっていきます・・・・

 

 

 

毛髪のない幼子に蝶の羽の衣装をまとわせて、一緒に舞台に立つ姿も見えますよ。

 

観る側ではなく、演じる側の方が楽しいということをあなたは誰よりもご存知だから・・・

 

ずっと、人の舞台を見上げるしかなかった子どもたちに、

 

演じること、表現することの嬉しさを 体感させてあげたいのでしょう。

 

あなたの蝶の羽は片方が破れています・・・でも、ちっとも気にせず

 

バランスをとって軽やかに、金色に輝く卵を みかんの葉に産み付けていますね。

 

子どもたちは、そんな白アゲハのようなあなたを夢中で追って、真似をして、

 

ひらひらと楽しそうに小さな舞台を舞っています。

 

 

「最後にこれをやりたかったんだよ・・・」 

 

 

やりたいことをやりきって終わる、気持ちのいい完了は、次の世界への旅立ちをサポートします。

 

あなたのおかげで、彼らは、真っ白な世界で再スタートをすることができるでしょう。

 

 

人生を終えようとしている方の、最後の輝きが満ちるのを待ち・・・・そして、その人生で一番美しい一滴を掬いうける人。

 

あなたは、最後のしずくが落ちるのを一緒に待ってあげられる 稀な方です。

 

 

あなたの器に受けたこのゴールデン・ドロップを含んだ美しい紅茶は、

 

円形に並んだティーカップにていねいに廻し淹れられています。

 

一滴を、多くの方に・・・・

 

あなたは、大きな大きな ティーポット・・・ あなたのあり方に、頭がさがります。

 

 

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【わたしの一言感想】

 

あなただからこそ、集められた至極の一滴がはいった紅茶です。

 

このような形でわたしの器にも注いでくださいまして・・・ありがとうございました。

 

ふか~い、やさしい味がいたします。

 

あの少女のような老婦人のやさしいまなざしが・・・忘れられません。