炭鉱町の少女

28日の東京スピマでは、本当にありがとうございました。

 

お客様、出展者の方々、事務局の方々、その場をつくる多くの人々に支えられて、

どうにか一日、精一杯走りきることができました。

 

そして「あなたが最高に輝いていた過去世」というお題のおかげで、たくさんの方の素晴らしい映像を今回も視させていただき、なんとも役得!私って、本当にしあわせもの~としみじみです。

 

そこで今日は、その中からひとつ、今の私に特に響いたお話をおすそ分けします。

 

少女が精一杯腕をふりふり、ゴールだけを目指して走る姿から始まります。

ゴールのテープを胸で切るときの感覚・・・レモン色の輝きと香りが胸いっぱいにはじける感じ。

一番の旗の前に座らせられることで、自分が初めて一等賞だったということに気づく有様。

満面の笑みで母の胸にパフッっと飛び込む少女、「やった!一等賞や!見とってくれたと?」。

「あぁ、見とったよぉ、よくやったなぁ」うす紫色のもんぺ、白の木綿の手ぬぐいを頭にはらりとかぶった母が、少女と同じくらい嬉しそうに。

一等賞というよりも、全力で走った娘の姿に何度も「よくやったなぁ、よくやったなぁ」と。

料理上手な母の、晴れの日のご馳走・・・色とりどりにきれいに詰まった塗りのお重を囲むシーンでいったんフェードアウト。

 

窓からオレンジ色の明かりがこぼれてくるシーン。トタンを張っているような、当時の平均的な家。質素ながらも良く片付いた部屋が見えます。

弟とその少女。夕食の配膳のお手伝いを当たり前のようにしている。

お母さんは炭鉱関係のお仕事と家の切り盛り。お父さんは、出稼ぎに行っているよう。

たまに帰ってくるときは、子供たちにお土産買ってきなさる、笑うと目がなくなるようなやさしげなお父さん。

 

父に会えるのをなにより楽しみにしている少女。一緒に入るお風呂の中での会話が聞こえてきます。

「今日、運動会、見に行ってやれんでごめんなぁ」

「ええたい。お母ちゃん来てくれたもん。あんなぁ、今日、一等賞!」

 

どうやら、時代はちょっと前の日本、九州の方の当時どこにでもあるような炭鉱町。

少女は、今の家族が大好き、小学校に通えて嬉しい!

毎日、今、子供の自分がやれることを思いっきりやりきって、夜、「つっかれたぁ~」とニンマリ笑顔で布団かぶって目を閉じる。

毎日毎日、このどっしりと安定したこの土地、自分の足元を踏んでいくことに限りない満足感を感じている。そして、ニュートラルな寝顔・・・    (完)

 


今の私が、こころの底で、実は一番欲しいと思っているものが、このストーリーには全部含まれているようで・・・

日本人の誰もが持っている原風景・・・大切な風景・・・時々つい忘れがちになる風景・・

思い出させていただいて本当によかったなぁと思ったお話でした。