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法然院に佇む(京都)

 

「それでは、〇時〇分にここに集合してください!

大丈夫です、ここは10分でじゅうぶん回れますから」・・・門前で団体さんのガイド役らしき男性の声が響きます。

 

たしかに・・・

10分でまたここに戻って来れるほどの小さき院なれど・・・

 

わたしは、ここを目指してきました

近くの銀閣寺も、他の有名な場所にも目もくれず・・・

 

あるとき、本の中で目が留まった ここ「法然院」に、

京都に来たら一度立ち寄ってみよう・・・、ただそれだけを胸に。

 

 

茅葺の門に通じる坂に足を踏み入れた途端、あぁ、帰ってきた・・・と感じました。

・・・息が深く吸えます

 

空気全体が 歓迎してくださっている

ここに来たことがわたしにとって正しかったことが、やわらかく響いてきます。

 

院内のお庭を掃いている方がおふたり・・・そのうちの女性の方にちょっと挨拶をすると、


「涼しいでしょう。下とこことでは4度はちがうんですよ。

山門をくぐるとき、わたしはいつも深呼吸しています」と、やわらかく話しかけてきてくださいました。

 

『あちらの階段の上の観音様はどのような方なのですか?』と、わたし。

 

「お地蔵さんです。法然上人さんのお弟子さんで、48歳の時の実物大のお姿だと言われていますよ。

お背が高くてなかなかのイケメンさんでしょう」

 

『ほんとうに(笑)・・・わたし、何も知らないままここに魅かれて参りました』

 

 

「ここは著名な方にも愛された院で、谷崎潤一郎さんのお墓もあるんですよ。

今年没後50年ということで、奥様との間で交わされた恋文が発見されたりと、

NHKの番組でも取りあがられて話題になりましたが、ご存じないですか?

 

茅葺の山門を出てまっすぐ参道を行くと左手に石塔があります、その右奥の3段くらいの階段を上がってそのまま進むと

枝垂桜が、お墓を護るように立っています。今の時期ですから葉桜ですが・・・

「寂」が潤一郎さんと奥様の眠っているお墓。お隣の「空」と書いてある石が、妹さんのお墓です。

お若い方の足ですとここから2分くらい。よかったら寄られてみてはいかがですか」と、ていねいに促してくださるのです。

 

『しだれ桜・・・ですか』

 

谷崎潤一郎さんのことも、

著名人のお墓をまわることにもまったく興味がないわたしでしたが・・・

 

なぜか、この方はわたしについてくださった旅ガイドさんのような気がして、

『はい。それでは、行ってきますね』と、素直に応えていました。


・・・「しだれ桜」に続きます

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コメント: 2
  • #1

    いくりん (水曜日, 03 6月 2015 22:02)

    お久しぶりです。
    写真をみて 私も深呼吸してしましました。
    旅ガイドさん・・・待っていてくれたんですね。
    私も旅に行きたくなりました・・・・

  • #2

    noriko♪ (木曜日, 04 6月 2015 15:54)

    いくりん♥

    ほんとうにそうですね・・・
    まず直感でカラダが魅かれた場所に行くと、ちゃんと次の場所に導くガイドさんがいてくださるんだなぁと(笑)

    一人旅は、こういうことがあるから、やめられませんね。

    来週に入ってからになるかもしれませんが、京都で泊まったホテルのご紹介もいたしますね♪
    いくりんの旅への刺激にちょっとでもなったら幸いです。お楽しみに!