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人に恋して

 

視界がまっくらになっても、彼女のかわいらしい笑顔が脳裏でゆれ、自分を賞賛してくれたかわいい声がいつまでも響いていました。

 

「あの笑顔をもう一度・・・こんどは、あの子と一緒の世界に生きるのもいいなぁ・・・」

 

自分の視界に飛び込んできたものに心を奪われた花が、人間界に転生しようと思った瞬間でした。 

 

 

 

たくさんのいろとりどりの花々が咲いています。見渡すかぎりの花畑。

やさしい風に体をまかせ、きもちよく仲間たちとスイング。

 

太陽は真上・・・どの花にも十分なだけの光が与えられています。

どこまでも青く高い空、あぁ、なんてきもちがいいんだろう・・・

 

あれ? その光をさえぎるものが・・・

太陽とおなじ位置に、見たこともないようなかわいらしい花がチラチラ。

 

花と目が合う。

 

「きれ~い」

 

人間の女の子・・・2歳くらいかな。

 

どんどんその笑顔の花がアップになり、

花びらと同じくらいやわらかいけど、ちょっぴりぬくもりのあるモノをおしつけて、

 

「いいにお~い」 

 

彼女は花を手折り、しばらく振り回したのち、ぽ~んと。

 

花は首から上の姿で仲間の花の間に横たわっています。

そこからまた青い空を見上げ、しばらくすると、視界が暗くなりました。

 

花は会ってしまいました、太陽と同じ位置で輝く笑顔に。 

たくさんの花が咲き乱れる中、自分を選んでくれた幸運にひたりながら・・・

 

・・・これが 恋におちる ということなのかな・・・

 

 

 

その幸運な花は、転生に成功したようです。

そのときの笑顔そっくりの君と、今、わたしは一緒に暮らしています。